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ハオチェン・チャン ピアノリサイタル [コンサート]

F.Chopin: 24のプレリュード Op.28
A.Ginastera: ピアノ・ソナタ第1番 Op.22
(Encore) F.Chopin: ノクターン第20番 嬰ハ長調(遺作)
 
  ハオチェン・チャン(Pf.)


実はコレもアジア民族音楽フェスティバルのプログラムのひとつ。
ハオチェン・チャンさんは2009年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで辻井伸行さんと
ともに優勝した人で、現在20歳。なんと5歳でデビュー・リサイタル、6歳でオケとの共演という
早熟の天才である(それにしても6歳でコンチェルトって… そんなに小さい手で弾ける
コンチェルトなんてあったっけ?)
前評判も高く、かなりの人が聴きにくるだろうと思われたので、あえて前のコンサートを
中座して、座席を確保するために邦楽ホールに早めに駆けつけたのである。
案の定、開演20分以上前に入場したのに、すでにいい席はほぼ埋まっていて、それならと
2階席の最前列に陣取って開演を待ったのでした。

最初は期待と好奇心が半々くらいだったのだけど… 演奏を聴いて、泣きました。
これは、フェスティバルの1プログラムではもったいない。1500円ではもったいなさすぎる!!


ショパンのプレリュード。
ショパンが弾きたくてピアノを練習している人とか、それが昂じてピアニストになったショパン
弾きさんとか、そういう人たちはショパンの美しい調べを愛するあまり、ついつい情緒過多に
なりがちで、そういう演奏は個人的にはあまり好きではないのだ(だからあまり聴かない)。
けれども、これは…! なんて精緻で、丁寧な演奏だろうか。
あまりテンポを揺らすことなく、1音1音の粒が見事なほどに揃って、ものすごく透き通って、
美しく形が整っていて、それがつらねられ、織り上げられた曲は、まるで極小ビーズだけで
一分の狂いもなくきっちりと編み上げた、宗教画のタペストリのよう。
そう、ほとんど宗教的な献身を思わせるほどに、本当に丁寧で、忠実で、1音1音のすみずみ
まで神経がゆきとどいていて、緻密で…
fも決して叩きつけたりしない、激しいパッセージも決して急いだり走ったりしない、私の漠然と
イメージしていた「ショパンの曲」はこういうことだったのかと、とても感動した。

次はヒナステラのソナタ。打って変わって、かなり激しい曲想の近代曲である。
これもとても丁寧な演奏。本当に音が綺麗なのだ。ここまで粒の揃った綺麗な音というのは、
なかなか聴けるものではない。だからといって迫力に欠けることはまったくなく、ダイナミック
かつドラマティックで、でも激しい部分でも音の美しさは失われないのだ。
1音1音がキラキラと輝いているような、素晴らしい演奏。今度は色あざやかで、反射強めの
クリスタライズをいっぱいちりばめた感じかな?

アンコールはショパンのノクターン。あまりの美しさに、本当に涙が出てきた。
演奏が終わった後も、へたりこんで立ち上がれなかったくらい。
けれども、次のプログラムがすぐに待っているフェスティバルだから、容赦なく追い出されるのだ…
もちろんそこらのフツーの音楽なんて聴く気になれず、むしろどんな音も聴きたくないような
心境で、ホールをあとにした。これでフェスティバル行脚はおしまい。

…が、実はこのあとに、この日のメインイベントが待ち受けていたのでした。

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