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金大フィル定期演奏会 [コンサート]

2011.1.22(土)18:30~ @石川県立音楽堂コンサートホール
Camille Saint-Saëns: 交響詩「死の舞踏」 Op.40
Georges Bizet: カルメン第二組曲
 1. 密輸入者の行進        2. ハバネラ   
 3. 夜想曲(ミカエラのアリア)  4. 闘牛士の歌
 5. 衛兵の交代           6. ジプシーの踊り

   * *
Peter Ilyich Tchaikovsky: 交響曲第5番ホ短調 Op.64

 金沢大学フィルハーモニー管弦楽団
 新田ユリ(Cond.)

昨日は椿姫に続いて二夜連続のコンサート。メンバーの学生さんに誘っていただいて、
金大フィルの定期演奏会に出かけた。
学生さんのオケは元気が良くて、楽しいのだ。またプログラムが私の好みの曲が
並んでいて(死の舞踏にカルメンとくると、まさにホロヴィッツの十八番である)、
とても楽しみだったのだ。

サン=サーンスの「死の舞踏」。
死神のヴァイオリンにのって骸骨たちが踊るという、不気味な中にもコミカルさのある曲。
この曲は大好きなんだけど、でもよく考えると、リスト編のピアノ編曲を聴くことの方が
圧倒的に多くて、オケ版の原曲はものすごく久しぶりに聴いた気がする。
鐘の音を示すハープとか、骸骨のぶつかり合う音を表してるシロフォンとか、楽器の
使い方も写実的で面白い。3拍子のリズムにのって骸骨が踊ってるのを想像すると、
かなりシュールで、なんだか楽しくなってきてしまうのだ。
死神のヴァイオリンは、コンマス君のソロ。ソロ部分では変則調弦のヴァイオリン、
第1ヴァイオリンのパートでは普通のヴァイオリンと忙しく持ち替えながら。
とっても上手いんだけど、かなり控えめというか、オケに遠慮しているような雰囲気が
あって、ソロなんだからもっともっと自己主張していいと思うんだけどなぁ。

お次はカルメン。
全体的におとなしめというか、落ち着いた、奇を衒うことのない演奏だった。
でもやっぱり、学生オケには勢いとか若さとか、ちょっとぐらい崩れても突っ走る威勢の
よさを期待しちゃうんだな。有名な曲でもあるんだし、もっともっとはっちゃけてもよかったと
思うけど… その辺は指揮者さんの好みだろうか。
リズムのいい曲はそれなりによかったけど、夜想曲はゆったりなので、ちょっとダレた感じ。
指揮に合わせてはいても、身体で刻むリズムが共有されていない、というのかな。
衛兵さんの交代のファンファーレなんかも、音を抑えるのに注意が行き過ぎて、勢いが
なくなってしまったのはとても残念だった。
ジプシーの踊りは、これも私はホロヴィッツの超絶技巧・超豪華絢爛なピアノ編曲を
聴きなれているので、どうしても物足りなく感じてしまう。こういうのはとても不公平かも
しれないけど、正直な感想をいえば、オケなのに、ピアノ1台に負けてるよ…。

全体のバランスとか強弱とか、正確に弾くこととか、そういうのももちろん大事なんだけど、
そっちを重視するあまり、肝心の音の勢いとか生気とか、そういうのがどうもポロポロ欠け
落ちてしまっている感じがする。安全運転すぎるというか、お行儀が良すぎるというか。
今、このメンバーで、この一回きりの本番なんだから、失敗を恐れて縮こまるのではなく、
もっとはじけてほしい、と心底思った。
もっと、「オレ様の音を聴け!」的な迫力、あるいは音楽をやっていて楽しくて楽しくて
たまらないといったワクワク感、そういうヴィヴィッドな何かがほしいのだ。

休憩をはさんで後半はチャイコフスキー。これは良かった。
そう、まさにこういう勢いのある、全身全霊を込めた演奏が聴きたかったのだよ。
大編成ならではの、地の底から湧き上がってくるような迫力があって、チャイコフスキー
らしい重苦しさとロマンティックさがどちらもよく感じられた。
多少のばらつきとかはあったけれど、そんなのが気にならないくらい、一体感のある、
感情豊かな演奏だった。
楽章間にもほとんど間をおかず、この大曲を一気に4楽章まで突っ走る。
(個人的には、楽章間はもう少し息をつきたい感じがしたけれど)
管楽器のそれぞれにおいしいソロの聴かせどころがたくさんある曲だけれど、
うーん美しい。じっくりと聴かせてくれますねぇ。
前半に不完全燃焼感があっただけ、このチャイコフスキーでは一気にカタルシスを
得られた感じだった。

花束を受け取った指揮者さんが、コンマス君とホルンのファースト君に一本ずつ抜いて
渡したのだが、それを途惑いながら受け取り、所在なげに持っていたのも初々しかった。
ソリストを務めたからにはは、もっと厚かましくなっていいと思うんだけどね。
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