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バロック音楽の夕べ [コンサート]

2011.3.7(月)19:00~ @石川県立音楽堂交流ホール
Heinrich Ignaz Franz von Biber: 戦闘(バッターリア) ニ長調
 1. ソナタ    2. あらゆるユーモアに満ちた放埒なる集い    
 3. プレスト   4. マーチ    5. プレスト    6. アリア
 7. 戦闘     8. 負傷した銃士たちの嘆き

Johann Sebastian Bach: ブランデンブルグ協奏曲第3番 ト長調 BWV1048
                 ブランデンブルグ協奏曲第5番 ニ長調 BWV1050
  * *
Carl Philipp Emanuel Bach: チェンバロ協奏曲 イ短調 Wq.26
Johann Pachelbel: 3声のカノンとジーグ
Andrea Falconieri: 2台のヴァイオリンと通奏低音のためのチアコンナ(シャコンヌ) ト長調
Arcangelo Corelli = Francesco Geminiani:
 合奏協奏曲 ニ短調 作品5-12 コレッリのヴァイオリンソナタによる「ラ・フォリア」

(Encore) J.S.Bach: アリア

 (Vn.) アビゲイル・ヤング、原田智子、藤田千穂、江原千絵、イェジュ・イ
 (Va.) デルフィヌ・ティソ、石黒靖典、大隈容子
 (Vc.) ルドヴィート・カンタ、大澤明、スンジュン・キム
 (Cb.) 今野淳
 (Fl.) 岡本えり子
 (Cemb.) 北谷直樹
 (バロックギター・テオルボ) 高本一郎

OEKの室内楽シリーズ「もっとカンタービレ」、今宵は「バロック音楽の夕べ」。
これほどどっぷりとバロックのみの演奏会は、初めてかもしれない。
珍しい古楽器まで登場とあって、交流ホールは超満員だった。

なんというのか、バロック音楽って身体的な音楽なんだなぁ、と思った。
ロマン派や近代は、心に響く音楽だと思う。ジーンときたり、何かを思い出したり。
が、バロックは、身体の細胞ひとつひとつが刺激され、ふつふつと活性化するような、
そんな感じを受けるのだ。

まずビーバーのバッターリァ。1673年の作らしい。
弦楽器はヴァイオリン5人、ヴィオラ3人、チェロが2人にコントラバス。
(本来はヴァイオリン3ないし4、ヴィオラ3、チェロ2、コンバス1の9~10人での演奏らしい)
今夜はそれにプラスして、チェンバロと、パーカッション(チェロのキムさんが担当)。
肩から吊るす白黒シマシマの縦長の太鼓と、なんか木箱みたいなのをふたつ持っていた
のだが、あれは楽器なのか?
そして高本さんは、バロックギターとテオルボというふたつの楽器を持ち替えて演奏。
テオルボとは低音のリュートだそうな。ネックがものすごく長くて、その根元の方3分の1
くらいのところに糸巻きがあり、そこまでの部分を使って弦を押さえる。
その先は?というと、一番先端にやっぱり糸巻きがあって、そこは駒でかなり高く浮かせて
あって、指版の上を通らずにエンドピンへ。
…ということは、長い弦は開放弦でしか弾かないのだろうか?
興味津々だったが、見えた範囲ではそちらの長い弦は使ってなかった様子。

さてこの曲だが、第1曲では演奏者が足を踏み鳴らすし、第2曲はみんながてんでに
好き勝手なメロディを弾いているような曲で、まるで居酒屋であちこちのテーブルで
それぞれ話をしていてざわついているような空気を醸し出していたし、
第3曲では太鼓のまさにマーチのリズムに乗っているメロディはマーチっぽくない
ヴァイオリンの流麗なソロだったし、なんというか、非常にユニークな曲だった。
特にアリアなんかでは、ちょっとバロックとは思えないような雰囲気があったし、
それに第2曲の不協和音(というのか?)の使い方なども、200年くらいトリップした感覚。
バロックにもこういう人がいたんだなぁ、とびっくりした。
全体としては、戦闘というタイトルから想像するような激しいものというよりは、
騎士団の一日を描写しました、みたいな感じかな。

バッハのブランデンブルグはおなじみの曲。特に5番は、もしチェンバロが弾けたら
ぜひとも弾いてみたい曲だ。
バッターリァと3番は白いチェンバロを奧に向けておいてあったんだけど、5番は黒くて
少し大きいチェンバロに交代して、配置も通常のピアノと同じようなものになった。
歯切れのよいチェンバロに乗って、弦楽器が踊るような演奏。
ただ… チェンバロの北谷さんの弾き振り、ということになるんだと思うんだけど、
それにしては振りが控えめで、特にチェンバロが入らないところではちょっと弦が
ばらついたりしていたのが気になった。もっとちゃんと振ればいいのになぁ。

休憩をはさんでC.P.E.バッハのチェンバロ協奏曲。
バッハの次男坊であるC.P.E.はとても好きなのだが(やっぱり読み方はツェー・ペー・エーね)、
この曲もやっぱり格好いいなぁ。

このあとは舞曲集。
有名なパッヘルベルのカノンとジーグは、よくあるBGMなんかのゆったりしたのとは違って、
テンポよく弾むように流れて行く。
ファルコニエッリは、エロティックな踊りであるチアコンナ。北谷さんは再び白いのに
取り換えたチェンバロの両脇を激しく叩いてリズムを取り、チェンバロが揺れる揺れる。
壊れないかと心配になるくらい。その速いリズムにのって弦楽器も激しく疾走。

そして最後の、コレッリのヴァイオリンソナタ「ラ・フォリア」を弟子のジェミニアーニが編曲した
というコンチェルト・グロッソ。
序奏の部分が、バロックギターのソロに始まりチェンバロが入って、なんだかロマの舞曲か、
あるいはスペインのギター音楽のようで、ものすごく雰囲気があった。
ラ・フォリアに続くのが信じられないような、衝撃的な序奏だった。
そして本体は、ヴァイオリンやチェロがソロを演じたり、全体で盛り上がったりと、
原曲よりも相当派手になって、フィナーレにふさわしい華やかな曲だった。

あんまり興奮しすぎた会場をなだめるように、アンコールはいわゆる「G線上のアリア」。
ふだん聴くのより少し速いテンポで、かろやかに、ふわりとした演奏。
クールダウン、には少し短くて軽くて物足りない気もしたけれど、これはそれだけ本編が
ぎっちりと詰まっていたからこその印象だろう。
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