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LFJ金沢2011 [コンサート]

今年もラ・フォル・ジュルネ、音楽馬鹿の季節がやってまいりました~!
今年のテーマは「ウィーンのシューベルト」。

去年、出遅れていくつかの公演が売り切れていたので、今年はかなり早くからせっせと
情報収集をしていた。
しかし3月に大震災が起こり、原発事故があって、外国人の帰国や来日取りやめが
音楽分野に限らず頻発しているのを見て、おそらく外国人の公演に大幅な変更が
あるだろうと思い、チケット購入を控えていた。
結局のところ、来ない人や楽団が発表されたのが4/15、変更後の出演者およびプログラム
変更が発表されたのが4/22。
個人的には、もう少し早い時期から「この人は絶対に来ると言っています」「この楽団は
来日できるかどうか現時点では不明です」というような情報がほしかったな、と思う。

さて、今年の鑑賞記録である。
他方面での予定が立て込んでいて、前哨戦には参加できず、メイン日程でも聴いた
公演は4つにとどまった。

  * * *
5/3(火) 11:00~11:45 公演番号221@邦楽ホール
F.Schubert: ピアノ三重奏曲第2番 変ホ長調 D.929
 庄司紗矢香(vn.) タチアナ・ヴァシリエヴァ(vc.)  ミシェル・ダルベルト(pf.)

庄司さんが出演するということで、唯一事前にチケットを買っておいた公演。
タチアナさんも去年聞いてすごくステキだったので、来てくれて嬉しかった。
ピアノはヌーブルジェ君からダルベルトさんに変更。まあ、ヌーブルジェ君は去年
あまり好みではないなぁと思っていたのだが…

始まってすぐに思ったこと。
ピアノ、邪魔ッ! 室内楽で思いっきり叩くな! 他の人の音を聴け!
庄司さんもタチアナさんも、あんまりガリガリ弾くタイプの演奏者ではない。
音量よりも、音の美しさとその存在感で、コンチェルトを弾いてもきちんと音が際立つ
タイプの人だと思う。そして、コンチェルトでは、フルオーケストラがフォルテでガンガン
鳴らしている最中に、ヴァイオリンソロにメロディを弾かせたりはしない。
ピアノは、1台でオーケストラにも匹敵する音量と迫力を出せる唯一の楽器だと思う。
なのに、対等な3人がやっているはずのところで、ピアノだけがフォルテシモで
叩きまくったら、ヴァイオリンとチェロの音が消えるッつーの!
庄司さんもタチアナさんも、開始早々に、意識的にかなり音量を大きくしたようだ。
音質はそれでも変わらず美しかったけれど、どうしても、それはたとえばmpではなく
mfもしくはfに聴こえてしまうのだ。
ダルベルトさんがppで弾いてくれているとき、第2楽章、第3楽章はわりとピアノが
伴奏に徹しているところが多くてちょっとは2人の音を堪能できたのだけど、
ダルベルトさんにはmpとかmfの概念がないんだろうか?
レガートはマルカート、常にアクセントつきのきつい音、もうピアノの屋根をぴったり全閉に
(譜面立ての部分もね)したい衝動に駆られた。ちょっとくらいはマシになったんじゃないかと思う。

庄司さんとタチアナさんはとてもステキ。そして、この2人の音質は、とてもよく
合っていたように思う。できれば他のピアニストで聴きたかったなぁ…

  * * *
5/4(水) 15:00~15:45 公演番号323@邦楽ホール
F.Schubert: 弦楽四重奏曲第13番 イ長調 「ロザムンデ」D.804
 ライプツィヒ弦楽四重奏団

イザイ弦楽四重奏団による15番から、演奏者・プログラムともに変更になった。
去年ライプツィヒの演奏を聴いた友人が、ぜひオススメだからとチケットをとっておいて
くれた公演。期待通り、とてもすてきな音楽を堪能しました。

まず、ずっと共に活動しているからこその、すばらしい息の合い方。それぞれ別の人が
音を出して、すべての和音のタテがあんなに気持ちよくピッタリ揃うなんて!
すごく細かいパッセージでも寸分たりともずれないのは、流石としか言いようがない。
それぞれが担当するメロディが、絶妙のバランスを保っている。どの楽器も、大きすぎず、
小さすぎず、その箇所箇所であるべき音をきっちり出していて、気持ちがいい。

そして、4人の音もまた、とてもバランスが良いと感じた。
室内楽では、ひとつひとつの楽器の音がとてもよく聴こえて、それも楽しみのひとつだ。
今回は前から3列目というとても近い場所だったので、楽器から出る音がダイレクトに
とどいて、ひとつひとつの楽器の魅力をめいっぱい味わうことができた。
明朗闊達な1stVn、性質がよく似たぴったりの女房役の2ndVn、気は優しくて力持ち、
いざというときにとても頼りになるチェロ、そして冷静沈着、思慮深いヴィオラ。
個人的には、ヴィオラの音がとてもとても好みだった。渋い魅力のある美声。ぞくぞくする。
それに、メロディ音域からかなりの低音まで担当できるヴィオラは、とても多彩な活躍が
できて、いろんな音を味わえる。ヴィオラの魅力に目覚めてしまったかもしれない。

曲もまた、大人の魅力がタップリの第1楽章、穏やかな田園風景のような第2楽章、
ミーレミーというモチーフがさまざまに表情を変えてあらわれる格好いい第3楽章、
軽やかで華やかな、フィナーレにふさわしい第4楽章。好きだなぁ、この曲。

  * * *
16:30~17:15 公演番号334@アートホール
F.Schubert: ピアノ・ソナタ第18番 ト短調 D.894「幻想」
 アンヌ・ケフェレック(pf.)

ジャン=クロード・ペヌティエ氏からの変更。曲目変更はなし。
アンヌ・ケフェレックさんはとても好きなピアニストなのだが、生で聴いたことはなかった。
LFJびわ湖に出演するというので聴きに行こうかと真剣に検討していたのだが、出演者
変更のおかげで金沢で聴くことができて、とってもハッピーです。

音のすみずみまで神経のゆきとどいた、とてもとても丁寧な演奏。
日本舞踊やバレエのダンサーが、指先まで、あるいは背中まで、きっちりとコントロールして
いることから生まれる「所作の美しさ」、それととてもよく似たものを、この人の演奏に感じた。
庄司さんたちのトリオのピアノがこの人だったら、どんなにすてきな演奏になったことだろう。
ひとつひとつの音を、どんな音色で、どんな音量で、どんなタッチで出すのかということを
繊細にコントロールしていて、それがこの曲の美しさを際立たせている。
このソナタは、どちらかというと難解な曲である。わかりやすい盛り上がりがなく、
精神性を全面に出したような、まあいってみれば玄人向けの曲。
だからこそ、この人の音で聴けてとても幸せだった。

全40分ほどの曲なので、拍手に応えて再登場したケフェレックさんは、ちらりと会場の時計に
目をやって、アンコールにヘンデルのメヌエットを弾いてくれた。とってもやさしい演奏。
これが終わると、今度こそもう時間ね、という風に再び時計を見て、ニコッとして退場。

  * * *
18:15~19:00 公演番号315@コンサートホール
F.Schubert: 劇付随音楽「キプロスの女王ロザムンデ」序曲
J.Brahms: ハンガリー舞曲第5番、第6番
J.Hellmesberger II: 悪魔の踊り
P.Dukas: 魔法使いの弟子
J.Strauss: ラデツキー行進曲
 東京大学音楽部管弦楽団  現田茂夫(cond.)

当日券売り場でプログラムが貼り出してあるのを見て、面白そう!と急遽決めた公演。
学生オケの若々しさ、熱気、勢いを堪能した。空席が多かったのがもったいない。
まあ、完成度という面では、いろいろと注文も多かったけど…
でもラストの公演、はじけた選曲、多少のミスは気にせず突っ走れ! というのは、
とても正しい選択だと思うのだ。おかげで、とてもとても楽しかった。

OEKを見慣れている目には、ビックリするほどの大編成に見えた。
1曲ごとに席を移動するのは、学生オケらしいなぁ。
現田さんも、とても楽しそうに、ノリノリで指揮をしていた。現田さんは変わった衣装で、
首が詰まった、人民服風燕尾服??
ハンガリー舞曲と第5番と第6番のあいだで拍手が起きて、まぁこれはしかたないと
思うんだけど、現田さんが客席を向いてその拍手に応え、オケに振り向きざま指揮を
始めたものだから、最初落ちかけた学生さん多数。そりゃ無茶ですよ~。
いろいろな打楽器を多用したり、コントラファゴットの実物をはじめて見たり、
そういう点でもふだんのOEKではなかなか味わえない楽しみがあって、よかった。
ラデツキーは当然お客さんも手拍子! 最高に盛り上がった。
終わってからもあのリズムがなかなか抜けなくて困りました。

  * * *
今年はLFJ名物のホール間ダッシュもせず(笑)、無料公演もほとんど見られず、
一日たっぷり会場で過ごすということもなかったけど、楽しかったです。

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コメント 2

hirom

音楽漬けの2日間でしたね!いいな~。きっと終わった後も数日間は、頭に音楽が鳴り続けていそうです。クラシックのコンサートは、あまり行ったことがないので、雰囲気がわかって、とても面白く読ませて頂いています。

それにしても、「人民服風燕尾服」姿の指揮者の方、気になります…。かなり映えそうな服装ですね。
by hirom (2011-05-06 11:14) 

Camilla

hiromさん
楽しかったですよ! 今日も歩くときにマーチのリズムが抜けず…(^^;
クラッシックコンサートは、慣れればいろんな楽しみ方ができます。親しみやすいプログラムのコンサートから、ぜひ足を運んでください。
しかし、マオカラーの燕尾服なんて、どこで売ってるんでしょうね?
by Camilla (2011-05-07 00:18) 

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