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L'Isle joyeuse [ピアノ曲]

クロード・ドビュッシー作、「喜びの島」。
ジャン・アントワーヌ・ヴァトーの絵画「シテール島への巡礼(もしくはシテール島への船出)」
にインスピレーションを得て作られたとされる、華やかな曲である。

「巡礼」なんていうイメージじゃないなぁと思っていたら、シテール島とは、アフロディテが
海の泡から生まれ、ゼフュロスに吹かれて流れ着いた島「キュテラ」のことで、すなわち
「愛と快楽の島」なんだそうだ。
つまり、シテール島への船出というのは、日頃のしがらみを離れて、南の島でヴァカンス
とアヴァンチュールにさあ出発、みたいなイメージなんでしょうね。

なんというか、フランス人らしいことで。パトリス・ルロワ氏も「フランス人は夏にはみんな
ヴァカンス先で恋をするんだ、もちろん既婚者でも」とNHKで力説してたしなぁ。
それでもって、この曲が作られたとき、まさにドビュッシーが教え子のお母さんと一緒に
妻を放ってヴァカンス中だった、というのが、なんともまぁ、という感じ。
(アヴァンチュールというわけではなく、後にお互い離婚したあと再婚してるわけですが)

のだめカンタービレでも「恋しちゃってルンルン♪の曲」と評されていましたが、
目眩く陽光、熱帯のあでやかな花が咲き乱れ、きらめく碧い海と白い砂浜が広がる、
解放感にみちたヴァカンスの空気がリアルにイメージされる。
もっとも、背景を知っていると、そこまで自由奔放に恋を満喫しちゃっていいのか?
と思わないでもないのだけれど。
暑い夏にうんざりするとき、気持ちだけでもヴァカンスの華やぎをかんじられる曲、
かもしれない。

http://www.youtube.com/watch?v=Q4LvR9IPwwI

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Summer Concertante ~シューマンからメシアンへ~ [コンサート]

Erik Satie: 右や左に見えるもの~眼鏡なしで
Igor Stravinsky: (ヴァイオリンとピアノのための)デュオ・コンチェルタンテ
Maurice Ravel: ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ト長調
Robert Schumann: ヴァイオリンソナタ第1番 イ短調 op.105
Olivier Messiaen: (ヴァイオリンとピアノのための)主題と変奏
M.Ravel: ツィガーヌ
 (Encore) 武満徹: 雨の樹・素描II ~オリヴィエ・メシアンの追憶に (Pf.)
        Matthew Hindson: Song of Life (Vn.)

 木村かをり(Pf.)  吉本奈津子(Vn.)
 

金沢21世紀美術館友の会のスペシャルコンサート。
なんとも趣味の良い選曲に、何日も前からワクワクドキドキだった。

チケットは事前予約しておいて当日引換え。そしてそのチケットはナンバリングしてあって
順番に入場して好きな席を取れる、という、かなり珍しいやり方。
そうとは知らず、引換えの時点で座席指定だと思っていた私は開演時間間際まで
のんびりとカフェで過ごしてしまったのだが、幸いにもけっこういい席が空いていて、
とてもラッキーだったし、予想に違わず、すてきなコンサートでした。

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ファジル・サイ ピアノリサイタル [コンサート]

L.Janáček: ピアノ・ソナタ変ホ長調 「1905年10月1日街頭にて」
L.v.Beethoven: ピアノ・ソナタ第17番ニ短調 op.31-2 「テンペスト」
S.Prokofiev: ピアノ・ソナタ第7番変ロ長調 op.83 「戦争ソナタ」
M.Mussorgsky: 組曲「展覧会の絵」
(Encore) F.Say: 「ブラック・アース」
       G.Gershwin/Say: 「サマータイム・ファンタジー」

  Fazil Say(Pf.)


実はこのピアニストのことは全く知らなかったのだが、音楽堂にあったパンフレットを
みて、なんだかすごく気になったのだ。
まず曲目に惹かれたのだが、しかし大当たりの予感がした。ただ、もしかすると
大外れの可能性もあるかな、とは思ったのだけれど。

結論から言うと、大当たり、なんだろうな。
あまりにもエキセントリックな、驚天動地の演奏。ここまでくると、良い悪いではなく、
好き嫌いでしか語れない気がする。で、私はかなり気に入ったのです。
笑いがこみ上げてくるようなところもたくさんあったのだけれど。

かなりのボリュームでメロディを歌いながら、さらに乗ってくると足をどんどん踏み鳴らして
リズムを取って、身体全体を揺らし、傾け、空いている手はひらひらと音を導くように揺れ、
まるでハリウッド映画の登場人物のように、顔の表情もころころと変わる。話しかけたり、
大げさに驚いたり、喧嘩をしたり、陶酔したり。
私の聴いた限りでは、楽譜の音を変えているようなところはなかったと思う。
けれど。テンポ、緩急、強弱、アーティキュレーション、すべてがオリジナル。
結果として、知ってる曲とは全然違ったものになってしまっているのだ。
かなり派手なミスタッチも随所にあったのだけれども、ここまで個性的な演奏をされると、
それも一つの味にみえてしまうという、なんというか、本当に何といえばいいのかな。


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Grieg: Piano Concerto [ピアノ協奏曲]

エドヴァルド・グリーグのピアノ協奏曲イ短調op.16。
なぜだか突然、この曲が聴きたくてたまらなくなった。
この曲は大抵シューマンのピアノ協奏曲とカップリングされている。
調性が同じで構成や作風に類似点が多いからだとか、グリーグ自身シューマンの協奏曲に
影響を受けたのだとか、いろいろ言われているし、似ているといえば類似点はたくさん指摘
できるのだけれども、曲そのものから受けるイメージはずいぶんと違うと思う。
シューマンがいかにもロマンティックなやわらかみと甘さが前面に出ているのに比して、
こちらは北欧の厳しい自然を思わせる、激しくも美しい、どちらかというと毅然とした
イメージを強く感じる。

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