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ピアノ・エチュード大観その1 [コンサート]

ピアノ・エチュード大観 ――1830年代のエチュード史――
第1景 フェルディナント・ヒラー(1811-1885)
 6つのエチュード組曲 Op.15
 (Encore) 妖精の踊り Op.9
  金澤 攝(Pf.)


先日、私が行けなかった21世紀美術館のコンサートで、ピアノ演奏とOEKによる自作曲の
初演をおこない、すっかり友人たちを魅了してしまったらしい、金澤攝さんの今年度の
シリーズが始まった。

実は、この人のことは以前より聞き知っていた。歴史に埋もれてしまった作曲家たちの
曲を発掘し、演奏している、変わったピアニストが金沢にいると。
その人は、そういった作曲家たちのいわば供養のために、そういう形での演奏活動を
しているのだとも聞いていた。現在、マニアなピアノ愛好者の間ではよく知られたアルカンも、
この人が日本に紹介したようなものだとも。
演奏(録音)を聴いたわけではなかったので、そのまま記憶にしまい込まれていたのだが、
こちらに来てからよく一緒に遊んで頂いているIさんが、偶然にもこの人のファンだという話を
聞いて思い出し、今年のシリーズが始まるのをとても楽しみにしていたのだ。

今年度は、ピアノ・エチュード大観と称した全8回のコンサートシリーズ。

ショパンがパリで活動を始めた1830年代……この時代のパリで出版されたエチュードを テーマに、特筆すべき13人の作曲家によるエチュード集、全177曲をめぐる究極の 「エチュード行脚」である。

当時の「エチュード」は、練習曲というタイトルにもかかわらず、十分に演奏会に堪えうる曲も
少なくない。ショパンのエチュードのいくつかはピアノリサイタルの定番だし、リストにいたっては
「超絶技巧練習曲」(この訳は必ずしも正しくないのだけれど)や「演奏会用練習曲」、
「パガニーニによる大練習曲」(ラ・カンパネッラが入っているヤツ)など、おそらくはもともと
コンサートピースとして書かれたんだろうというエチュードがある。

というわけで、第一回目の今日は、フェルディナント・ヒラー。
なーんか聞き覚えのある名前だなぁ、と思ったら、シューマンのピアノコンチェルトはこの人に
献呈され、初演の指揮まで務めているのだ。
そのほかにもショパンやメンデルスゾーン、リスト、アルカンなどなどとも親交があったようで、
そういえばこの人自身の曲は知らなくても、名前はチョコチョコ見かけている。

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