SSブログ

OEK・山下洋輔の一柳慧&ガーシュウィン [コンサート]

一柳慧 交響曲第7番 「イシカワ・パラフレーズ」
G. Gershwin: ラプソディ・イン・ブルー
一柳慧; オペラ『愛の白夜』より「ワルツ」
一柳慧: ピアノ協奏曲第4番「Jazz」

 藤岡 幸夫(cond.)
 山下 洋輔(Pf.)
 オーケストラ・アンサンブル・金沢

OEKのおためし公演、3公演3000円という超お得な(ただしB席当日指定)公演の
第1回。到着したのがギリギリだったので、3階席の最後列だった。

今日のコンサートの素直な感想。やっぱり私、現代音楽はアカンわ。

指揮者さんが、わりと面白かった。
ほとんどジャンプするんじゃないかと思うほど、ひざのバネを十分に使った、
全身を使った指揮。片平さんだー、と思ったのは私だけではないはずだ。

「イシカワ・パラフレーズ」。
現代音楽は苦手だと思っていた。
それが、和音の問題より、むしろ音の問題だとわかったのが、今日の収穫かもしれない。
わざと、掠れさせたり軋ませたり濁らせたり。そういうのが、どうもダメだ。
ミュートをつけた管楽器の音とか、わざと軋ませたヴァイオリンの音とか。
正直なところ、私には美しいと思うのは無理だ。オバケが出そうな雰囲気。
そういえばリゲティを初めて聞いたときにも同じように「わ、オバケ」と思ったような。
フルートが、あんな、尺八のような、おどろおどろしい音が出せるとは知らなかった。
(尺八がおどおどろしい音だと言いたいわけではありません、念のため)

「ラプソディ・イン・ブルー」。
オケも相当いじってあったと思う。基本となるテンポは、かなりゆっくり。
山下さんのカデンツァ――じゃない、インプロヴィゼイション?は、3回。
どれも、原曲からはかけ離れたインプロヴィゼイションで、少しビックリ。
この曲が「クラッシック・ジャズ」とは言われても、全然ジャズじゃないんだな、
と思わせるような、如何にもジャズのインプロヴィゼイションだった。
その最後には拍手をしたくなったけど、クラッシックのお行儀のいい音楽会では
曲中に拍手をしたりしないんですよね。なんだかなぁ。

でも、E-durに転調したところでは、泣きたくなるほどゆったりともの哀しく。
ピアノではなくオケが主導というのもあったのかもしれない。
この部分のインプロヴィゼイションは、どちらかというとクラッシックの印象で、
たぶんロマン派の有名な楽曲――ショパンとかリストとか――のモチーフの断片が
多用されていた。たぶん、たまたま似たというよりは意図的にいろんな曲のモチーフを
使ってるんだと思うんだけど。すごくアレンジされていて拾う暇もない感じ。
あ、あの曲だ、と思う暇もないほどの断片で、すぐにこぼれ落ちてしまうので、
どの曲のどのモチーフ、と言うほどは覚えられなかったけれど。
あと2回のカデンツァに比べて、ずいぶんとクラッシックっぽい仕上がりになっていた。
それまでのいかにもJazzなのと比べると、かなり異質な印象。なんでだろう?
それにしても、ジャズのピアノ奏法って、本当にクラッシックとは違うものですね。

休憩を挟んでの「ワルツ」。短い曲で、山下さんは参加せず。
オペラ「愛の白夜」は杉原千畝をテーマにした物語らしく、そのオペラの中の一幕。
ウィンナ・ワルツっぽいリズム、ただしそれほど洗練されてはいなくて、
ちょっともたつく感があったのは、ウィーンではないリトアニアが舞台だという、
意図的な演出だろうか。わかりやすい、なじみやすい感じのワルツだった。

さいごの協奏曲「Jazz」は、横浜開港150年記念の委嘱作品で、
この指揮者&ソリストのコンビで昨年初演されたらしい。
タイトルに相違して、ぜんぜんJazzではなかった。現代音楽だ。
山下さんのピアノが、最初の方はかなりクラッシックの弾き方だったので驚いた。
が、4分の1もしないうちに、けっこう典型的なJazzの弾き方になっていた。
が、やっぱりあれはJazzとはいえない音楽だったように思う。
和音が、典型的な不協和音というか、最初の印象は「ウェーベルンみたい」だった。
すみません、現代音楽が好きではないので、ウェーベルンしか知りません。
ただ、そういう不協和音が気持ちがいい音だとはあまり思わないけど、
少なくともオケの音自体は美しくて、意図的に軋ませたりするようなことがないだけ、
私にも馴染みやすかったのは事実だ。少なくとも、「イシカワ・パラフレーズ」ほどの
苦手意識は喚起されなかった。
山下さんのソロの部分は、解説によれば「凶暴な即興」なんていう指示があるそうだ。
でもあんまりJazzっぽくはしてなくて、ピアノの端から端までを縦横無尽に叩きまくったり、
最後のところでは掌全体、さらに腕全体でまとめて鍵盤を押し下げる、クラスター奏法。
まあいかにも現代の、個人的には「ピアノが可哀想」な。
これでも内部奏法がなかっただけ穏健なほうなのかも?

アンコールは主として山下さんのインプロヴィゼイション、+オケの協奏。
Take the A train と、スワニー川と、あと2曲ほど耳におぼえのあるメロディが
出てきたと思うが、これもずいぶんと変形されていて、どの曲だったのかは
定かではない。

全体として、こういうJazz系の音楽会ならマイクを使うのはふつうなのかとも思うけど、
どうも打楽器系のマイクが音を拾いすぎていて、かなり違和感があった。
スネアの音が妙に大きく、しかも舞台の端の方から聞こえたり(実際にはほぼ中央)、
ピアノや弦、木管とのバランスが悪いことこの上ない。他の楽器についてもたぶん
マイクは設置されていたのだと思うけど、打楽器系ほどには音を拾えていなかったようだ。

まあ私が現代音楽のコンサートに行くと言うのはかなり稀有な経験ではあるので、
ある意味では面白かった。
だが、たぶんもう二度と行こうとは思わないだろうな。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。