SSブログ

これぞ、室内楽の王道! [コンサート]

2011年6月29日(水)19:00~ @石川県立音楽堂交流ホール

Zoltán Kodály: セレナーデ Op.12
  江原千絵(Vn.I)  原田智子(Vn.II)  丸山萌音揮(Va.)

Ludwig Thuille: ピアノと管楽のための六重奏曲変ロ長調 Op.6
  岡本えり子(Fl.)  加納律子(Ob.)  遠藤文江(Cl.)
  柳浦慎史(Fg.)  金星眞(Hr.)  鶴見彩(Pf.)

  *  *
L.v.Beethoven: 弦楽四重奏曲第11番へ短調「セリオーソ」 Op.95
Béla Bartók: 弦楽四重奏曲第3番 Sz.85
  松井直(Vn.I)  上島淳子(Vn.II)  石黒靖典(Va.)  大澤明(Vc.)


OEKの室内楽シリーズ、「もっとカンタービレ」。今回は「これぞ、室内楽の王道!」と
銘打った、ヴァラエティに富むプログラムである。
なんだかいろんな種類の舞台やフィルムを見たような、ウキウキするコンサートだった。


まずはヴァイオリンのお姉さま二人とヴィオラ新人モトキ君のコダーイ。
最近ヴィオラの音がとってもお気に入りなのだけど、これほどヴィオラが活躍する曲も
珍しいと思う。ものすごくおいしい役なのだ。
第二ヴァイオリンが小刻みに重音をきざみ、その上にヴィオラと第一ヴァイオリンが
それぞれにメロディをのせる。まるで二人舞台をみているような感じ。
女性と男性が、舞台の上で、別々の方向を向いて、交互に独白をしているような、
そんな曲である。会話でもないし、一緒に歌うわけでもない、お互いがそこにいると
知らないまま、虚空に話しかけている感じで、とても魅力的な曲だった。

お次は木管楽器をメインとする六重奏。トゥイレ(本来はフランス系なのでテュイユと
読むのが正しいらしい。だったらファーストネームもリュドウィックと読むのかな)
という作曲家の曲を聴くのは、おそらくはじめてだが、なかなか素敵な曲だった。
これは、ヨーロッパの田園紀行のような感じの、風景が目の前に広がるかのような、
そんな明るくのびやかな作品。第三、第四楽章は、小さな村の伝統のお祭りみたいな、
エキゾチズムと、独特のリズム感と浮き立つ躍動感のあるステキな曲だ。
管楽器の音は、一本ずつでもとても厚みがあって、華やかで、聴きごたえ十分だった。

休憩をはさんで、後半は弦楽四重奏。
ベートーヴェンの「セリオーソ」は、英語で言うとserious、つまり深刻なとか重大な、
という意味なのだけれど、今回の演奏は重々しい感じではなく、たとえば締切直前に
とんでもないミスが見つかって、「大変だ!」という感じの、なんだか軽やかで
コミカルな印象だった。なんとかしなきゃ、というので、わたわた、みんなで大パニック。
深刻な顔をつきあわせて相談し、間に合わないかも、もうダメだ、と諦めモードが
ただよったり、さあやるぞ!と超特急でこれ以上ないほど真剣に仕事にかかり、
最後はもう狂躁状態で突っ走り、なんとか間に合った~と燃え尽きて終わる。
なんだかコメディタッチのお仕事ドラマを見ているみたいな気分になった。

バルトークのカルテットは、不協和音にかぶさるメロディ、勢いのあるピツィカート、
不気味でリズミカルで、どこか明るさも感じられる、おもしろい曲だ。
印象としては、語り、である。真っ暗な夜、松明だけを灯した円形劇場で、真ん中に
ひとりぽつんと座った古老が、不気味な伝説を淡々と語るような感じ。
風の音も、葉擦れも、それが意思をもっているように感じられて、ビクっとするような。
盛り上がるにつれ、男性コロスの迫力のある声が物語を追い立てる。
やっぱりバルトークはいいですねー。なんというのか、土着のにおいというか、
どこか懐かしさを感じるような、いい意味での土臭さが好きなのだ。

音楽会に行ったというより、やっぱりいろんな舞台を見たような感じで、楽しかった。
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 2

ショウタ

初コメント書かせて頂きます(笑)

曲の多彩な表現というか、なんというか。

聴いた音の感覚をこうも文章に表現されてるのが凄い!

読んでるだけでその映像が頭に浮かびます。

表現の豊さというか、文才というのか。
もちろん尊敬、だいぶ羨ましいです(笑)


曲もだいぶ聴いてみたくなりました(^_^)

これからも楽しく読ませて頂きます。



by ショウタ (2011-08-30 13:13) 

Camilla

ショウタ君
わ、コメントありがとう♪
実際に、音楽を聞いてるとき、絵が浮かんだり情景が浮かんだり、音が手触りとか色とかとして感じられたりするんですよ。私の場合、ほぼクラッシック限定だけどね。
だからコンサート行くのは、とってもワクワクします。それに、印象が強烈だったものは、めったなことじゃ忘れない! 逆につまんなかったコンサートレポはかなり辛口ですが(笑)
by Camilla (2011-08-30 22:37) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。