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OEK・井上道義 その2 [コンサート]

F.Grofé: 組曲「グランドキャニオン」

  オーケストラ・アンサンブル金沢&兵庫芸術文化センター管弦楽団
  井上道義(cond.)

プログラム後半。今度は2オケ合同で。
とにかく多い!! 1stVn.だけで20人くらい。管楽器は全部で30人近くがずらっと3列に。
ホールの端ギリギリまでぎっしりと埋まっているのは圧巻。
また、大きい楽器が多いのだ。グランドピアノにチェレスタ、ハープ、ティンパニ、銅鑼、
大太鼓、マリンバ、ヴィブラフォン、チャイム(のど自慢で鳴らすやつね。チューブラーベルと
いうこともあるが)、それから正体がわからなかったものもいくつか。

実はこの曲、何度か全曲通して聞いたことはあったが、生で聴くのは初めてだ。
そして、断言する。これは絶対生で聴く…いや、見る方が面白い!!
それでもって井上さんも、今度は踊りというよりも… オケを従えたパントマイム?
今度はさすがにフラットなところからは後ろまで見えないのか、指揮台を舞台の端
ギリギリまで下げて置いていた。

第1曲「日の出」。弦楽器のかすかな風のさざめきにのせて、管楽器の鳥が鳴き交わす。
世界が目覚めを迎えたところでは、やっぱり大編成はすごいなーと思った。迫力が違う。
色彩豊かなんていうもんじゃない、カラフルでヴィヴィッドな音の洪水。ああーアメリカだ。

第2曲「赤い砂漠」。「生命感のない無機的光景」と解説にはあったけれど、たしかに
少し暗い、というか不可思議な色調の曲なのだけれど、でも根底に感じられるのは、
底抜けの楽観主義。
何もない荒野に乗り出したとき、絶望に駆られるでもなく、その荒野の世界が、あるいは
その先に待つものが、自分のために用意されているのだと疑いもなく信じているような。
これがアメリカンのフロンティアスピリットなのだろうか。

第3曲、誰もがおなじみの「山道をゆく」。出だしはヴァイオリンのソロ。あれだけの人数を
従えてソロを弾くのは、気持ちいいだろうなぁ。でもあれかなり難しそう。ちょっと緊張ぎみ?
ポッカポッカというあの音は、ココナッツシェルという楽器らしい。名の通り、ココナッツの殻。
両手にもって、台の上にポッカポッカと打ちつける。上からだったのでよく見えたのだが、
ちゃんと右後、左後、右前、左前、とロバの足と同じように動かしているのにちょっと感動。
やっぱり弦楽器の音がとっても厚みがあって、雄大なのだ。
だからチェレスタのソロでは繊細さがとっても際立って、すごく綺麗だった。

第4曲「日没」。これもとにかく音が厚くて、スケールが大きいんだろうなぁ、という感じ。
それにしてもグランドキャニオンの夕陽ってこんなに華々しく没むんだろうか。
大自然の日没って、もっと厳粛なイメージがあるんだけど。でも観光客がいっぱい
いるならそうかもしれないな…。

アタッカで第5曲「豪雨」。正体不明の打楽器が出てきたのはここだ。
調べてみると、ウィンドマシーンにライトニングマシーン。風と稲妻を出す。そのままだ。
ウィンドマシーン→ http://www7b.biglobe.ne.jp/~mansaku/w-masch1.html
打楽器さんの一人がいきなりこれの横に出てきて、横のハンドルをぐるぐる回しだす。
すると摩擦で風のような音がする。風が激しく、高い音になると猛然と回す回す。大変そう。
ピアノもグリッサンドだらけ。これも痛そうだ。
ピシッというシンバルは、木の折れる音をあらわしているのかな?
ライトニングマシーンは、大きな枠にやはり大きなアルミ板を吊ってあるように見えた。
打楽器さんがその後ろに消えたかと思うと、会場の電気が消え(指揮者にのみスポット)、
板の後ろでストロボが光る。何度も。
…これは「楽器」なのだろうか? ほぼ視覚効果のみ(小さくパシッと音はしてたけど)。

この曲は、部屋で録音を小さな音で聴いたりするもんじゃないな、とつくづく思った。
少なくとも部屋全体が音で溢れるくらいにしないと、このスケール感は伝わらない。
それに、視覚メインの楽器なんてものも出てくるくらいだから…、
やっぱり「見て楽しむ」曲なんだろう。
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コメント 2

quackey

先日はどうもでした!
すばらしいレビュー!いやはや全くその通り!
当日の感動がよみがえりましたよ。
映画を観てるようでした。
またぜひよろしくです。
by quackey (2010-05-31 14:39) 

Camilla

quackeyさん
こちらこそありがとうございました。
あのド迫力、思い出すだけでワクワクします。
quackeyさんの鑑賞記も楽しみにしていますね!
by Camilla (2010-05-31 22:30) 

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