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Islamey [ピアノ曲]

ロシア五人組のひとり、ミリィ・バラキレフの代表曲のひとつ、「東洋風幻想曲:イスラメイ」。
ピアノ曲で世界一の難曲は何かという質問に、必ず挙がる曲の筆頭でもある。
トランスクリプションではもっといっぱい音を増やして難しくなっているものもあるだろうが、
原曲でココまで、トランスクリプションに匹敵するほどに絢爛豪華な曲というのは、たしかに
あまりないと思う。そして絢爛豪華なだけにとどまらない、しっとりとした雰囲気もあり、
エキゾチックなメロディそれ自体の吸引力もある、本当に魅力的な曲である。


単音のメロディに始まる冒頭は、それ自体が何か不可思議な魅力があって、とても
惹きつけられる。装飾音も伴奏も付いていない、本当に一本のメロディだけが、
どうしてこんなにも魅力的なのだろう。
西洋でもない、アジアでもない、まさにオリエンタルな雰囲気。
そして緩急自在なメロディの展開。すっと潮が引くように弱く儚くなったかと思うと、
じわじわと音が増え、盛り上がり、またすっと引いてゆく。潮と表現したが、海に譬える
にはあまりにもエネルギッシュで、あまりにも人間的で移り気で。
中間部の切ないまでの美しいメロディ。見つめるだけの、秘めたる恋心のような。
あるいは、ひとの営みを愛しみ/哀しみにみちて静かに見守る月読みのような。
これほどに切ないのに、あたたかく、あくまでやわらかくて、胸が締めつけられるよう。
再現部の激しさ、豪華さは、しかしヨーロッパの宮廷風の煌びやかさとはまったく違う、
もっと土の匂いのする、つくりものではないひとの真情のようなものが、迫ってくるのだ。
これほどに装飾に満ちた音楽でありながら、華やかとか派手というよりもむしろ、
終わったあとの余韻は、どこまで煌びやかに飾りたてても厳然として底にある、
自然とか人間の存在そのものの淋しさとか、哀しみとか、だからこそのはかない美しさ、
そういったものであるような気がするのだ。

http://www.youtube.com/watch?v=oOUf-RD-sb0&feature=related
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