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フォーレ・レクイエム [コンサート]

2/20に、OEKの定期公演にいった。
いつも、コンサートのあとには聴いた音楽が自分の身体からあふれだしそうになって、
それをなだめるためにだいたいはその日のうちにコンサートレポートを書くのだが、
このときはすぐに時間が取れなくて、そのうちにタイミングをはずしてしまった。

この時のプログラムが、フォーレの『レクイエム』。
今となっては、コンサート全体の印象はずいぶんと薄れてしまったのだが、
今回の大災害の報道に、先ごろ聴いたこの曲を強烈に思い出した。

この曲は、フォーレ自身が両親を相次いで亡くした直後に書かれたそうで、
それだけに、本当に心の底からの祈りが籠められた曲である。
この曲を石川県立音楽堂のコンサートホールで聴いたとき、これはここで聴くべき
曲ではない、教会で聴くべき曲だ、という想いがこみあげてきた。
それは、オルガンや合唱の音が、石造りの教会でこそ映えるという意味もある。
けれども、それ以上に、これは「祈りの空間」でこそ演奏されるべき曲なのだ。
コンサート会場は、音楽を共有する場ではあっても、祈りを共有する場ではない。
それが日本のように、彼らの文化を共有していない者達が集まるところなら、特に。
だからこのとき、美しい音楽に聴き惚れ、感動しつつも、同時に、どうしようもない
違和感を、最後までぬぐいきれなかった。
いまなら、この曲に込められた祈りを共有できるのだろうか。

被災地に、できることなら音楽と花を届けたいと思う。
亡くなった人々への哀悼と祈り、生きている人たちへの感謝をこめて。

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